007ホテルフレンチの歴史に、日本人初の栄誉

2017.5.30 Tue.

2017年4月5日、ザ・ウェスティン・パリ-ヴァンドームのバンケットルーム「ナポレオン」は、あたたかな祝福の拍手に包まれました。

1958年に創設された、世界のホテル業界で顕著な功績を残したフランス料理のシェフに授与される「国際料理芸術 クープドール・マリウス・デュトレイ」。フランス料理アカデミー会員の推薦とフランス料理人協会の執行により数年に一人だけ選出されるこの権威ある賞を、京王プラザホテルの名誉総料理長 緑川廣親が日本人として初めて受賞、授与式が行われたのです。

過去の受賞者にはポール・ボキューズ氏やジョエル・ロブション氏など、そうそうたるグランシェフが名を連ねる同賞。受賞に際し緑川は、若き修行の日々に薫陶を受けた多くの友人たちに心からの感謝を捧げるともに、その友情とつながりを大切にしてこれからも仕事をしていきたい、この素晴らしい職業に誇りをもって生きたいと述べています。

シンプルに、素材の持ち味や香りを大事にすること。さらに基本を大事にすることを料理に取り組む姿勢の第一に挙げる緑川。15歳で料理の世界に入り、24歳でヨーロッパに渡り修行、その数々の現場で出会った“正確な仕事に取り組む料理人たち”に導かれて培われた繊細さと緻密な合理性を併せもつ料理の技術と信念は、日本におけるフランス料理界の重鎮となった今も変わることはありません。

「伝統的な知恵がつまった料理を大事にしながらも、新しい料理に挑戦しようとする若い人たちの意欲と幅を広げるような指導をしていきたい」とも語る緑川。1971年の京王プラザホテル開業と同時に入社し、約半世紀に渡って日本のフランス料理を牽引してきた歴史と系譜は、現在もたしかに若きシェフたちに綿々と受け継がれています。