020「ジャパニーズ・モダン」を今に伝えるインペリアルスイートルーム

2018.2.5 Mon.

1971年、日本初の超高層ホテルとして開業した京王プラザホテル。「世界に誇れる“日本”のホテルを創る」という構想のもと、インテリアの総合プロデューサーとしてホテル全体のデザインの指揮をとったのが、「ジャパニーズ・モダン」の礎を築いた伝説のデザイナー剣持勇氏でした。なかでも剣持氏自ら室内設計のすべてを手がけたのが、現在も当時のままに残されている本館41階のインペリアルスイートルームです。

数寄屋造りを思わせる内装のテクスチャー、直線的な格調あるデザインでありつつ和を感じさせる調度品の数々、モダンな色彩感覚…。後に天童木工の最高級シリーズとして知られるようになった三方留め構造の応接セット「7093番」など、自らデザインした家具や照明を贅沢に配した室内には、今なお新鮮な感動を呼ぶ「ジャパニーズ・モダン」の美意識が凝縮されています。アートワークにも当時気鋭の画家 加山又造氏をはじめ篠田桃紅氏ら一流作家たちを剣持勇氏が招集。斬新なオリジナル作品が寄せられました。

奇しくも剣持氏の遺作となったインペリアルスイートルーム。この部屋はまさに、1970年代の日本のモダンアートを代表する作品そのものでもあるのです。