070光を追い求めたアーティスト、多田美波のシャンデリア

2021.7.6 Tue.

地上160mからの都心の夜景を背景に、ひときわ印象的な輝きを見せるシャンデリア。本館45階スカイラウンジ〈オーロラ〉のバーエリアカウンター上に据えられたこの独創的な照明は、女性彫刻家の草分け的存在で、光の反射を生かした抽象作品で知られる立体造形作家の多田美波氏(1924〜2014)が1971年の開業時に制作した作品。イタリアンマーブルのカウンターとともに唯一無二の空間を彩り、多くのファンに愛されてきました。

天井から下げられた幾百ものアクリルの束に、無数の光が屈折する華やかさ。天空にきらめく星をすべて集めて造られたかのような輝きには、ときにあたたかみさえ感じ、魅了されます。実は多田氏にはもう一つ、開業時にメインロビーを飾った作品がありました。ロビーを行き交う人や景色が映り込む、高さ3mにも及ぶガラスミラーの彫刻『Space Terminal』(1991年のロビー改装後は富山県民共生センターに移設)。シャンデリアと同様、光を集め、光を反射し、そこに別世界を生み出す多田氏ならではの造形です。

西側には東京都庁、東側には都心の街の光が鮮やかに広がるスカイラウンジ〈オーロラ〉。バーエリアで半世紀の時を見つめてきたシャンデリアは、今もなお、訪れるゲストに新鮮な感動を与えてくれます。



※ホテル開業50周年記念展示「京王プラザホテル50年のものがたり」において、
メインロビーを飾った『Space Terminal』のパネル写真をご覧いただけます。
「アートが彩るくつろぎと気品~開業時の空間デザイン」
期間:4月22日(木)~2022年5月31日(火)  場所:本館3階メインロビー