(写真左から)1971年開業時 メインロビー/コーヒーハウス<四季>(後に<樹林>に改名)/ブッフェ<珊瑚>

088開業時のインテリアに宿るデザイン精神は、今も

2022.3.14 Mon.

伝説的デザイナー剣持勇氏が、“世界に誇れる日本のホテル”を目指して空間デザインの全体指揮をとった京王プラザホテル。クラシカルなホテルが主流だった1971年当時、人々の五感に訴えかけるようなモダン・デザインでまとめられた京王プラザホテルのインテリアは、瞬く間に大きな話題を呼びました。

デザインの多様性と楽しさを追求するために、剣持氏は才能あふれる若手アーティストやデザイナーを多く起用。彼らが伸びやかに腕を振るった館内は、まさにくつろぎと気品に満ちたミュージアムでした。当時、剣持氏の指揮の下で内装を担当した主任技師は、「私たちはこの超高層ホテルの表情として、すがすがしさ、さわやかさ、楽しさを選びました。(中略)ホテルに来られた方々が第一印象で、これは楽しそうだと期待をもつ、そんなデザインのホテルを創りたい」と、そのデザインポリシーを語っています。

ハッと息をのむ鮮やかな色彩と大胆な構成、一流のアートワーク、西洋と日本の伝統美の融合、緑の外空間の彩りなど、ホテルを訪れた瞬間から人々の心を弾ませる楽しさにあふれた館内は、今見ても、どこをとっても、斬新で魅力的です。
現在は時代の変遷によって更新された内装もありますが、そのデザインポリシーは健在。ロビー・ラウンジからレストラン、客室まで、ゲストがゆったりとくつろぎながら体感できるアートや遊び心を配した空間が演出されています。緊張するようなラグジュアリー感とは距離を置く、親しみやすい京王プラザホテルの空間デザイン。
ここにも開業時からのDNAがたしかに息づいているのです。

(写真左から)1971年開業時 スカイラウンジ<オーロララウンジ>/バーラウンジ<ヤングバー>

(写真上から)1971年開業時 スカイラウンジ<オーロララウンジ>/バーラウンジ<ヤングバー>